スタジオジブリの名作「となりのトトロ」に
ちょっと怖い都市伝説があるのは有名ですね。

 

「サツキとメイは物語の終わりには死んでしまっている」

「トトロは実は死神で死期の近い人にだけ見えるようになる」

「話の終わりにサツキとメイの笑い声だけを聞いたお母さんも
もう長くない」

という暗い裏話です。

この都市伝説は爆発的に広まってしまいました。
なんでみんなが信じてしまったのでしょうか?

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ジブリは公式ブログを通して、
「トトロが死神という事はない、メイちゃんは死んでない」
と発表していますが、それでもこの裏話はなくなりません。

どうしてたくさんの人が本当かも?と思ってしまったのか、
トトロのシーンを思い出しながら考えてみました。

 

あんまり荒唐無稽な裏話だったら下火になるのも早かったでしょう。

でもそうならなかったのは、
勘違いさせやすい要素がお話の中に登場していたからかも。

トトロの都市伝説の根拠とされているのは、
主にサツキとメイの影です。

「物語後半からサツキとメイの影がうすい 」

「死んでしまったから影が無くなっている」というのが
根拠のひとつに挙がっています。

でもこれは作品の中で時間の移り変わりの演出と言えます。
夏の昼間の濃い影から、日が落ちた後の弱い影に変化しているのです。

しっかり描く必要がないから描いていないということですね。

 


 

影などの証拠より、トトロの背景世界のしっかりした描写が
見る人のイメージを不思議な方向に導いていると感じました。

ポイントとなった設定と場面をチェックしてみます。

 

・病気で入院しているお母さんと妖精の世界のトトロ

人の生死に関係する場所、病院。
それと平行して登場する森の異界。

生死をにおわせる場所と人が行けない異界が同時に登場すると
両方が重なってしまいやすいですね。

 

・サツキが森を見てトトロに助けてもらおうと思いつく場面

子供用のサンダルが池に浮いているシーンは、
ひやっとさせられるところです。

結局メイのサンダルじゃないと分かるのですが、
軽い衝撃の後、サツキはトトロのいる森を見つめます。

そしていきなり大人たちの中から森へ向かって駆け出します。
このとき、一瞬だけ無音になりますね。

サツキの心がトトロのところへ行ったとたんに、
みんなの声が聞こえなくなってしまうのです。

世界がトトロの森の方へ切り替わるような印象を受けました。

 

・サツキがトトロの所にいくために小さな川を飛び越える場面

日本人なら「三途の川」のお話をみんな知っています。
川はこっちとあの世を分けている線の象徴です。

サツキがこれを越えることで、
見る人には、川を渡っちゃった!と無意識に認識されます。

 

・ネコバスの行き先表示が切り替わる時にちょっと出てくる「墓道」

墓、と言う字が出てくるとやっぱり不穏なイメージを受けますね。
疑いながら見ていると何かの暗示かと思ってしまいます。

 


 

病院、お地蔵さん、子供のサンダルが浮かんだ池、
墓の付く地名、病気のお母さん、

こういう要素が重なって行くと、トトロの怖い都市伝説も
心に受け入れられやすくなるようです。

 

もとから昭和30年代の田舎には神様の世界を思わせる部分が
たくさん残っていて、トトロの世界はそれを忠実に表現したと
考えられます。

怖い都市伝説は30年代の世界にすごく入り込み易かった、
と言えるのではないでしょうか。